「完全版マーティン・ガードナーの数学ゲーム全集」の1~4巻を読んだ。その1巻「ガードナーの数学パズル・ゲーム」の感想
シリーズについて
本書はMartin Gardnerさんが月刊雑誌「Scientific American」で書いていた「数学ゲーム」というコラムのまとめ。レクリエーション数学、つまり、数学パズル・ゲーム・工作・手品・クイズ・リドルなどの記事を再編集してまとめたもの。1巻は16章あるがそれぞれの関連性は薄く、どこから読んでも専門的な知識がなくても楽しめる内容になっている。各章の末尾には付録として追記・読者からの反応・問題の答え・参考文献も充実していて詳しい。また翻訳も良く、英語の言葉遊びの補足があったり、参考文献の書籍の翻訳があれば追記していたりして素晴らしい。
書きたいことがある章についてこのブログで面白かったよとだけ書く。
良い知らせ
本シリーズは全15巻という大ボリューム、おそらくすべての記事を再編している。過去に出版されたものをケンブリッジ大学が再編集して Mathematical Association of America (MAA、アメリカ数学協会) が出版し、日本語翻訳が日本評論社から出版される。
ちなみに巻号が多少前後している。
悪い知らせ
現在4巻まで出ているがそれ以降は出ていない。3巻の英語版が2009年、4巻が2014年、そして2021年になっても5巻は出ていない。仮に残り11冊が5年間隔で出たとしても翻訳版まで完結するのは50年後か。
生きているうちに読むことはできないだろう。
タイトル等はここから確認できる。Martin Gardner bibliography - Wikipedia
日本語のタイトルは本書のカバーに書いてある。
13章 ポリオミノ
特に正方形5つからなるペントミノを詳しく紹介している。ペントミノは正方形の12個のピースからなるパズルで、それぞれが5つの正方形を連結した異なる図形になっている。
ペントミノは玩具として売られているが自作してみた。アクリル製の1cm角の立方体が「ブランクダイス」という名前でボードゲームの小道具として売られていたのでこれを材料とする。
接着剤でつないだ。
自作するメリットとして好きなサイズで作ることができ、1x1ミノや2x2ミノなどを追加した拡張問題も遊ぶことができる。正方形を繋いでもできるが立方体で作れば3次元的な積み木パズルも遊ぶことができる。さらに単色で作るとミノの切れ目がわからないので画像をアップしてもネタバレにならない。なので3x20の画像をここに貼っておく。
しかし一度置いたミノを動かそうとするとどれがどのミノかわからないので悲しい。
ペントミノを使って作る長方形・立体の問題例として
- 6x10
- 5x12
- 4x15
- 3x20
- 3x4x5
- 5x6を2組
などがある。
本書によると上記の問題の中で3x20の解の数が最も少ないので最も難しい問題としている。
ガードナーさんは回転・反転を除いた解の数に興味があるようで、そのような数え上げがこの章に限らず度々出てくる。
他にも一直線で2つに分離できないので美しいとか、4つのミノが集まる点が無いので美しいとかステレオタイプな数学者っぽい。